2012年10月5日金曜日

『カラマーゾフの妹』 高野史緒

今年度の江戸川乱歩賞受賞作、『カラマーゾフの妹』

乱歩賞受賞作だから読んだだけで、実際のところ個人的にはあんまりこういう類の作品は好きじゃない。
こういう類っていうのは、つまり、自分以外の誰かの作品に対する、本人に許可を取らない続編という位置づけの作品だ。

高校生の頃に読んだ『カラマーゾフの兄弟』を読み返してみようと思った。
着想は面白いし、作者は『カラマーゾフの兄弟』が好きなんだろうなぁとも思った。
でも、それだけだ。
やっぱり作品のポテンシャルそのものにあんまり好感を持てなかった。
例えば俺なら、ロシアの文豪、ドストエフスキーの作品に勝手に続編を作ろうなんて恐れ多くて出来ない。
読んだ印象では、作者自身は、もともとドストエフスキーが書く予定だった第二部っていう着想を元にしただけで、続編を書こうと思ってないのかもしれないけど、第一部を踏まえてる段階で続編っていう立ち位置からは逃れられないだろう。
もちろん、本来の作者以外が書いた作品が世の中にたくさんあるっていう事実は確かにある(『ドラえもん』もそうだ)し、そういうものが広く認められることもあるっていうことも知ってはいる。
この作品がそういう系統の作品かっていうと、正直なところ疑問を感じる部分があったりするんだよなぁ。

乱歩賞として選んでいいのかどうか、っていう問題は選考の時点であったらしい。
『カラマーゾフの兄弟』の続編にも一定程度の需要はあるはずだから、個人的には乱歩賞作品にはしないで欲しかったかなぁと思う。


愚痴ばっかりになっちゃった。

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